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陽だまりの中。僕は居た。 午後のうたた寝。

夢と現実の狭間、ゆらり、ゆらり。 霧の中。


 


 

ふと顔を上げると、少女が一人。僕を…見ていた。

許さない。
小さく呟かれた言葉は、僕に向けられたもの。


よく見れば、少女は傷だらけで。沢山の紅が流れ出していた。

許さない。
また、ぽつり。呟かれる。


どうして?
僕は、貴女を知りませんよ。
                              イヤ…シッテイル。

僕は、何もしていない。
                              シッテイルハズダ。


本当に?
少女が僕の前にしゃがみ込む。顔は、見えなかった。

本当に?
繰り返す、今度は語気が強かった。


はい。                           イイエ。
そう、応えた。

助けて欲しいのですか?
そう、訊ねた。                       ソンナ、当タリ前ノ事ヲ。


当たり前じゃない。
哀しげな目で、少女は言った。

でもね、もういいの。
助けなんてこないから。


そんなことはありません、そう言った。                嘘ダヨ。
僕に出来ることはありませんか、そう訊ねた。          出来ルワケガナイノニ。

ナゼナラ、「僕」ハ。

応えは、金属の光と。小さな声。
動けない僕に、少女は言った。


「貴方」は、「私」を見捨てたでしょう?


そんなこと、分からない…。                  分カッテイル。
そう言った刹那。                       タダ、


光が、振り下ろされた。

 
 

            タダ……忘レタダケ。

 

 
 

気が付くと、少女はいなかった。
否、元々いなかったのかもしれない。

気が付くと、陽だまりは木陰になっていた。
どれ程の時が流れていたのか。

空は薄紅に染まっている。


ああ、どんな会話をしていたっけ?

思い出そうとしても、思い出せない。
それは指の間からすり抜けて、まるで空を掴むよう。


…忘れてしまったな。

それだけ言って、僕は立ち上がる。
そのまま、いつも行く場所へと向かった。


今日はどんな話をするかな。

今日はどんな一日になるのかな。


今宵も、暖かな時でありますように。


 

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